仮想通貨のハードフォークとは?基本的な仕組みと過去の事例紹介

仮想通貨のハードフォークとは?基本的な仕組みと過去の事例紹介 仮想通貨

仮想通貨の情報を調べていると、「ハードフォーク」という言葉をよく見かけるはずです。
他の分野では使われない言葉ですので、どんな意味なのか分かりにくいですよね。
しかし、ハードフォークのニュースは仮想通貨の価格に大きな影響を与えます。
ここでは、仮想通貨のハードフォークとは何なのか、その仕組みや注意点を解説します。
過去の有名なハードフォークの事例も紹介しますのでぜひ参考にしてください。

ハードフォークとは?

まずは仮想通貨のハードフォークとは何なのか、その言葉の意味を解説します。

フォークとは分岐のこと

ハードフォークという言葉にある「フォーク」とは、「分岐する」という意味を持っています。
仮想通貨は取引情報を記録したブロックと呼ばれる情報のユニットを、チェーンでつないでいく構造になっています。
通常はあるブロックの次に来るブロックは一つだけで、一本のチェーンがずっと続いていくことで、その通貨の過去のすべての取引履歴が全ユーザーに分散されて保管される仕組みになっています。
何らかの事情があり、あるブロックの次に来るブロックを分岐させることをフォークと呼びます。

ソフトフォークとハードフォーク

仮想通貨のフォークにはソフトフォークとハードフォークがあります。
ソフトフォークとハードフォークの違いは、そのコインが分裂するかどうかにあります。
ソフトフォークもブロックが分岐されますが、互換性を保ったまま分岐されますので、ルール変更後もコインが分裂することはありません。
ハードフォークは分岐してできた2つのブロックに互換性がないのが特徴です。
そのため、ハードフォークが行われると、2つの全く別の仮想通貨に分裂することになります。

ハードフォークが行われる理由

ハードフォークとはブロックの分岐のことですが、どのようなときにハードフォークが行われるのでしょうか?

機能改善(アップグレード)のため

ハードフォークで多いのが、仮想通貨の機能改善を目的としたものです。
その仮想通貨が開発されたときは想定されていなかった問題や不便な点が後から判明したときに、その不便を解消するための仕様変更を行うためにハードフォークを行います。

意見対立が原因の場合

仮想通貨のコミュニティ内で意見対立が起こったときにハードフォークが行われることもあります。
従来のルールを支持するユーザーと、新しいルールを支持するユーザー同士で折り合いがつかないときに、解決策として旧ルールの仮想通貨と新ルールの仮想通貨の2つに分けてしまうということです。
ハードフォークをすれば全く別の仮想通貨に分かれることになりますので、コミュニティも2つに分かれて意見対立が解消されることになります。

ハードフォークに関する注意点

仮想通貨のハードフォークは機能改善や問題解決のために行われるものですが、投資家からすると注意すべきことがいくつかあります。

急激な価格変動

興味のある仮想通貨がハードフォークをするかもしれないという情報があった時は、そのコインの価格が急激に変動する可能性がありますので相場に注目しておく必要があります
ハードフォークは基本的に何らかの問題を改善するためのものですので、ハードフォークが問題なく完了すればその仮想通貨の魅力が増します。
そのため、世の中の投資家がハードフォークを評価していればハードフォーク前に価格が上昇する可能性があります。
好意的に受け入れられていなかったり、ハードフォーク実施時にトラブルかあったりすると、価格が大幅に下がる可能性もあります

ハードフォークを繰り返すと信用が失われる

ハードフォークをするということは、仮想通貨のルールを変更するということになります。
あまりたびたびハードフォークが起こると、その仮想通貨の信用が失われ、価値も下がってしまう可能性があります。

たとえば、ビットコインには発行上限枚数が2,100万枚までというルールがあらかじめ決められています。
このルールがあるからこそインフレしないという安心感があり、価格も保たれています。
しかし、理論上はハードフォークをすることでこの発行上限枚数のルールも変更しようと思えばできてしまいます。
あまりハードフォークを繰り返してルールが次々に変わると信頼性が損なわれるということを覚えておきましょう。

過去のハードフォークの事例

時価総額上位の有名な仮想通貨で過去に実際に行われたハードフォークの事例を紹介します。

ビットコインのハードフォーク

仮想通貨のハードフォークで最も注目を集めたのが、2017年8月に行われたビットコインのハードフォークによるビットコインキャッシュの誕生です。
ビットコインのハードフォークが行われた目的は機能改善です。
ビットコインは利用者が増えすぎて取引の処理能力が足りなくなってしまうというスケーラビリティ問題というものがありました。
取引履歴を書き込むブロックのサイズが1MBと小さかったため、大量の取引が集中すると送金の遅延が頻発していました。
そこで、ブロックサイズを8MBに変更するというアップグレードのためにハードフォークを行ったという流れです。
ブロックサイズが1MBのビットコインはそのまま存続し、従来どおり取引されています。
ブロックサイズが8MBになったものはビットコインキャッシュという名称となり、ビットコインとは互換性のない別の仮想通貨として取引されています。
このハードフォークは、「ビットコインが分裂する」ということで世界中の仮想通貨投資家が注目するイベントとなりました。

イーサリアムのハードフォーク

仮想通貨取引所で上場している仮想通貨を見ていると、「イーサリアム」と「イーサリアムクラシック」の2種類を見かけた人は多いはずです。
これもハードフォークによって仮想通貨が分裂したひとつの例です。
2016年にイーサリアムがハードフォークを行い、もともとのイーサリアムはイーサリアムクラシックとなり、新しく誕生したものがイーサリアムとして取引されています。
イーサリアムは世界で初めてスマートコントラクト機能を実装した画期的な仮想通貨ですが、このスマートコントラクトを使ったthe DAOと呼ばれるプロジェクトがハッキングの被害に遭ってしまいました。
ハッキングによって大量のイーサリアムが盗まれてしまいましたが、この事件の解決のために行われたのがイーサリアムのハードフォークです。
イーサリアムではハードフォークをすることでハッキングが起こる前の状態に戻すことに成功しましたが、その結果イーサリアムとイーサリアムクラシックという2つの仮想通貨に分岐することになりました。
ハードフォークをする直前にイーサリアムの価格は若干下がりましたが、ハードフォーク完了後に問題が一応解決したということで再度値上がりをしています。

まとめ
仮想通貨の値動きを予想するときには、ハードフォークは大幅な価格変動の要因になりますので要注意です。
マイナーな草コインがハードフォークによって大幅な機能改善を行い、価格が急上昇するということもありえます。
ハードフォーク情報には常に気を配っておくようにしましょう。